DDP
Section: Linux Programmer's Manual (7)
Updated: 2017-09-15
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名前
ddp - Linux での AppleTalk プロトコルの実装
書式
#include <sys/socket.h>
#include <netatalk/at.h>
ddp_socket = socket(AF_APPLETALK, SOCK_DGRAM, 0);
raw_socket = socket(AF_APPLETALK, SOCK_RAW, protocol);
説明
Linux は Inside AppleTalk に記述されている AppleTalk プロトコルを実装している。 カーネルにあるのは DDP
層と AARP だけである。これらは netatalk プロトコルライブラリを通して利用されるように設計されている。 このページは DDP
層を直接利用したいユーザーのために、 インターフェースを記述したものである。
AppleTalk とユーザープログラムとの通信には、 BSD 互換のソケットインターフェースを利用する。 ソケットに関するより詳しい情報は
socket(7) を見よ。
AppleTalk ソケットは、 ソケットファミリーの引数に AF_APPLETALK を指定して socket(2)
関数を呼び出すことによって生成される。指定できるソケットタイプは、 ddp ソケットをオープンする場合には SOCK_DGRAM、
raw ソケットをオープンする場合には SOCK_RAW である。 protocol は送受信される AppleTalk
プロトコルである。 ソケットタイプに SOCK_RAW を指定した場合は、プロトコルに ATPROTO_DDP を指定しなければならない。
raw ソケットは実効ユーザー ID が 0 のプロセスか、 CAT_NEW_RAW 権限を持ったプロセスでないとオープンできない。
アドレスのフォーマット
AppleTalk ソケットアドレスはネットワーク番号、 ノード番号、 ポート番号の組み合わせで定義される。
struct at_addr {
unsigned short s_net;
unsigned char s_node;
};
struct sockaddr_atalk {
sa_family_t sat_family; /* address family */
unsigned char sat_port; /* port */
struct at_addr sat_addr; /* net/node */
};
sat_family は常に AF_APPLETALK に設定する。 sat_port はポートを与える。ポート番号が 129
以下のポートは 「予約ポート (reserved port)」 と呼ばれる。実効ユーザー ID が 0 のプロセスか、
CAP_NET_BIND_SERVICE 権限を持つプロセスだけが、このようなソケットを bind(2) できる。 sat_addr
はホストアドレスである。 struct at_addr のメンバー s_net
にはホストのネットワークをネットワークバイトオーダーで与える。値 AT_ANYNET
はワイルドカードで、「このネットワーク」も暗黙のうちに含まれる。 struct at_addr のメンバー s_node
にはホストのノード番号を与える。値 AT_ANYNODE はワイルドカードで、「このノード」も暗黙のうちに含まれる。値
ATADDR_BCAST はローカルなブロードキャストアドレスである。
ソケットオプション
プロトコル固有のソケットオプションはない。
/proc インターフェース
Appletalk のグローバルパラメーターのいくつかは、 /proc インターフェースを通して設定することができる。 これらのパラメーターには、
/proc/sys/net/atalk/ ディレクトリ内のファイルの読み書きでアクセスできる。
- aarp-expiry-time
-
AARP キャッシュエントリーを破棄するまでのタイムインターバル (秒単位)。
- aarp-resolve-time
-
AARP キャッシュエントリーが解決されるまでのタイムインターバル (秒単位)。
- aarp-retransmit-limit
-
AARP クエリーの最大再送信回数。この回数を越えると、 そのノードは dead であるとみなされる。
- aarp-tick-time
-
タイマー動作する AARP のタイマーレート (秒単位)
デフォルトの値で仕様にマッチしているので、 変更する必要は全くないはずである。
ioctl
socket(7) に記述されているすべての ioctl が DDP にも適用される。
エラー
- EACCES
-
ユーザーが行おうとした操作に必要な権限を持っていない。 broadcast フラグをセットせずにブロードキャストアドレスへ送信を行おうとした、
実効ユーザー ID が 0 でなく、 CAP_NET_BIND_SERVICE
権限のないプロセスで特権ポートをバインドしようとした、などが考えられる。
- EADDRINUSE
-
既に使用されているアドレスにバインドしようとした。
- EADDRNOTAVAIL
-
存在しないインターフェースが要求された。または 要求されたソースアドレスがローカルでない。
- EAGAIN
-
非ブロッキングソケットに対してブロックする操作を行った。
- EALREADY
-
非ブロッキングソケットに対する接続操作が既に実行中である。
- ECONNABORTED
-
accept(2) の途中で接続がクローズされた。
- EHOSTUNREACH
-
行き先アドレスにマッチするエントリーがルーティングテーブルにない。
- EINVAL
-
渡した引数が不正。
- EISCONN
-
接続済みのソケットに対して connect(2) が呼ばれた。
- EMSGSIZE
-
データグラムが DDP MTU より大きい。
- ENODEV
-
ネットワークデバイスがない。あるいは IP を送ることができない。
- ENOENT
-
パケットが到着していないソケットに対して SIOCGSTAMP が呼ばれた。
- ENOMEM と ENOBUFS
-
メモリーが足りない。
- ENOPKG
-
カーネルサブシステムが設定されていない。
- ENOPROTOOPT と EOPNOTSUPP
-
無効なソケットオプションが渡された。
- ENOTCONN
-
接続されていないソケットに対して、 接続状態でしか定義されていない操作を行おうとした。
- EPERM
-
高い優先度に設定したり、設定を変更したり、 指定したプロセスやグループにシグナルを送るのに必要な権限を ユーザーが持っていない。
- EPIPE
-
接続が接続相手によって、予期しないやり方でクローズまたはシャットダウンされた。
- ESOCKTNOSUPPORT
-
ソケットが設定されていない。または未知のソケットタイプが要求された。
バージョン
AppleTalk は Linux 2.0 以降でサポートされている。 /proc インターフェースは Linux 2.2 以降に存在する。
注意
SO_BROADCAST オプションを用いる時には慎重の上にも慎重になってほしい。 Linux ではこれに特権を必要としない。
不注意にブロードキャストアドレスに送信を行うと、 ネットワークの状態が簡単に変更されてしまう。
移植性
基本的な Appletalk ソケットインターフェースは BSD 由来のシステムにおける netatalk と互換性がある。多くの BSD
システムでは、 ブロードキャストフレームを送信しようとしたときの SO_BROADCAST
のチェックに失敗する。これは互換性の問題となるかもしれない。
raw ソケットモードは Linux 独特のもので、もう一方の実装である CAP パッケージや、 Appletalk
モニタツールをより簡単に実装できるようになる。
バグ
エラーの値がまったく首尾一貫していない。
ルーティングテーブル、 デバイス、 AARP テーブル、 その他のデバイスを設定するために用いられる ioctl がまだ記述されていない。
関連項目
recvmsg(2), sendmsg(2), capabilities(7), socket(7)
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
Index
- 名前
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- 書式
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- 説明
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- アドレスのフォーマット
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- ソケットオプション
-
- /proc インターフェース
-
- ioctl
-
- エラー
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- バージョン
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- 注意
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- 移植性
-
- バグ
-
- 関連項目
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- この文書について
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