UDP
Section: Linux Programmer's Manual (7)
Updated: 2020-04-11
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名前
udp - IPv4 の ユーザーデータグラムプロトコル
書式
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
#include <netinet/udp.h>
udp_socket = socket(AF_INET, SOCK_DGRAM, 0);
説明
これは RFC 768 で記述されている User Datagram Protocol の実装である。 UDP
はコネクションレスの、信頼性の低いデータパケットサービスである。 パケットは到着前に並び替えられたり複製されたりする。 UDP
は転送エラーを検出するためにチェックサムを生成・チェックする。
UDP ソケットが生成されるとき、 ローカルアドレスやリモートアドレスは指定されない。 正しい行き先アドレスを引数として sendto(2) や
sendmsg(2) を呼べば、データグラムはただちに送信される。 ソケットに対して connect(2)
を呼ぶと、デフォルトの行き先アドレスが設定され、 send(2) や write(2)
を使って、行き先アドレスの指定なしにデータグラムを送信できるようになる。 この場合でも、行き先アドレスを sendto(2) や
sendmsg(2) に渡せば、デフォルト以外のアドレスに送信可能である。 パケットを受信するために、まずソケットを bind(2)
を用いてローカルなアドレスにバインドさせることもできる。 そうでない場合は、ソケット層は自動的に
/proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range で定義されている範囲の外で空いているローカルなポートを割り当て、
ソケットを INADDR_ANY にバインドする。
受信動作はパケットを一つだけ返す。渡したバッファーよりもパケットが 小さければ、そのパケットの大きさのデータだけが返される。
逆にバッファーよりも大きい場合はパケットは丸められ、 MSG_TRUNC フラグがセットされる。 MSG_WAITALL
はサポートしていない。
IP オプションは、 ip(7) に記述されているソケットオプションを用いて読み書きできる。 これらは適切な /proc
パラメーターが有効な場合に限ってカーネルによって処理される (しかし無効になっている場合でもユーザーには渡される)。 ip(7) を参照のこと。
MSG_DONTROUTE フラグが送信時にセットされている場合には、 行き先アドレスはローカルなインターフェースアドレスから
参照できなければならない。パケットはそのインターフェースにしか送られない。
デフォルトでは、Linux の UDP は Path MTU Discovery を行う。 つまり、カーネルは特定の宛先 IP アドレスの MTU
(Maximum Transmission Unit; 最大転送単位) を記録し、UDP パケットの書き込みが MTU を超えた場合
EMSGSIZE を返す。 EMSGSIZE を返された場合、アプリケーションはパケットサイズを小さくすべきである。 ソケットオプション
IP_MTU_DISCOVER または /proc/sys/net/ipv4/ip_no_pmtu_disc ファイルを使って Path
MTU Discovery を無効にすることもできる (詳細は ip(7) を参照)。 Path MTU Discovery
を無効にした場合は、パケットサイズが インターフェースの MTU よりも大きいと UDP はそのパケットを フラグメント化して送出する。
しかしながら、性能と信頼性の理由から Path MTU Discovery を 無効にするのは推奨できない。
アドレスのフォーマット
UDP は IPv4 の sockaddr_in アドレスフォーマットを用いる。これは ip(7) に記述されている。
エラー処理
致命的なエラーは、たとえソケットが接続されていなくても、 すべてエラー戻り値としてユーザーに渡される。
これにはネットワークから受け取る非同期エラーも含まれる。 同じソケットを使って送信した昔のパケットに関するエラーを受け取るかもしれない。
この振る舞いは他の BSD ソケットの実装の多くとは異なる。 これらではソケットが接続されていない場合はエラーを全く返さない。 Linux の振る舞いは
RFC 1122 での指定に従ったものである。
Linux 2.0 と 2.2 では、古いコードとの互換性のために、 SO_BSDCOMPAT SOL_SOCKET
オプションを設定すれば、ソケットが接続されている 場合に限ってリモートのエラーを受信するようにできた (EPROTO と EMSGSIZE
を除く)。 ローカルで生成されたエラーは常に渡される。 このソケットオプションのサポートはそれ以降のバージョンの Linux で 削除された。詳細は
socket(7) を参照。
IP_RECVERR オプションが有効になっていると、 すべてのエラーはソケットのエラーキューに保存される。 これは
MSG_ERRQUEUE フラグをセットして recvmsg(2) を呼べば受信できる。
/proc インターフェース
システム全体の UDP パラメーター設定には、 /proc/sys/net/ipv4/ ディレクトリ内のファイルの読み書きでアクセスできる。
- udp_mem (Linux 2.6.25 以降)
-
これは 3 つの整数からなるベクトル値で、 UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数を制御する。
-
- min
-
このページ数より少なければ、UDP はそのメモリー使用に関して 干渉されない。 UDP に割り当てられたメモリー総量がこの値を超過すると、 UDP
はメモリー使用量を調整し始める。
- pressure
-
この値は tcp_mem の形式 (tcp(7) 参照) と合わせるために導入された
- max
-
UDP の全ソケットのキューで利用可能なページ数。
-
これらの 3 つの値のデフォルト値は、 ブート時に利用可能なメモリー総量から計算される。
- udp_rmem_min (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
-
メモリー使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる受信バッファーの最小値 (バイト単位)。 UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
udp_mem pressure を超過している場合であっても、 各 UDP ソケットはデータの受信にこのサイズ分だけは使用することができる。
- udp_wmem_min (integer; デフォルト値: PAGE_SIZE; Linux 2.6.25 以降)
-
メモリー使用量の調整中に、UDP ソケットが使用できる送信バッファーの最小値 (バイト単位)。 UDP の全ソケットのページ使用量の合計が
udp_mem pressure を超過している場合であっても、 各 UDP ソケットはデータの送信にこのサイズ分だけは使用することができる。
ソケットオプション
UDP ソケットオプションを設定または取得するには、 取得には getsockopt(2) を、設定には setsockopt(2)
をオプションレベル引数に IPPROTO_UDP を指定して呼び出す。 注釈がない限り、 optval は int
へのポインターである。
Following is a list of UDP-specific socket options. For details of some
other socket options that are also applicable for UDP sockets, see
socket(7).
- UDP_CORK (Linux 2.5.44 以降)
-
このオプションが指定されると、このソケットの全てのデータ出力は 一つのデータグラムに蓄積され、このオプションが無効化された時に 送信される。
このオプションは移植性を考慮したコードでは用いるべきではない。
ioctl
以下に示す ioctl は ioctl(2) を使ってアクセスできる。 正しい文法は以下の通り。
-
int value;
error = ioctl(udp_socket, ioctl_type, &value);
- FIONREAD (SIOCINQ)
-
整数へのポインターを引数に取り、そのポインターに、次の処理待ちのデータグラムの
サイズをバイト単位で返す。処理待ちのデータグラムがない場合は 0 を返す。
警告: FIONREAD を使った場合、処理待ちのデータグラムがない場合と、
次の処理待ちデータグラムが 0 バイトのデータの場合を区別することができない。
この両者を区別したい場合は、select(2), poll(2), epoll(7)
を使う方が安全である。
- TIOCOUTQ (SIOCOUTQ)
-
ローカル送信キューにあるデータサイズをバイト単位で返す。 Linux 2.4 以上でのみ対応している。
さらに、 ip(7) と socket(7) で述べられている全ての ioctl も対応している。
エラー
socket(7) や ip(7) に記述されている全てのエラーが、 UDP ソケットの送受信で返される可能性がある。
- ECONNREFUSED
-
行き先アドレスに関連づけられている受信者がいない。 これは以前のパケットがそのパケットを 上書き送信してしまっているからであることが多い。
バージョン
IP_RECVERR は Linux 2.2 の新しい機能である。
関連項目
ip(7), raw(7), socket(7), udplite(7)
The kernel source file Documentation/networking/ip-sysctl.txt.
RFC 768 : User Datagram Protocol
RFC 1122 : ホストの必要条件
RFC 1191 : path MTU discovery の記述
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
Index
- 名前
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- 書式
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- 説明
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- アドレスのフォーマット
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- エラー処理
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- /proc インターフェース
-
- ソケットオプション
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- ioctl
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- エラー
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- バージョン
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- 関連項目
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- この文書について
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