PROCMAIL
Section: User Commands (1)
Updated: 2003/06/16
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名前
procmail - 自律型メールプロセッサ
書式
procmail [-ptoY] [-f fromwhom]
[parameter=value | rcfile] ...
procmail [-toY] [-f fromwhom] [-a argument] ...
-d recipient ...
procmail [-ptY] -m [parameter=value] ... rcfile
[argument] ....br procmail -v
説明
取り敢えずすぐ始めたい場合は、後の 備考 を参照されたい。
procmail は、メールの到着後 .forward ファイルの仕組みを通じてただちに自動起動されるだろう。
あるいは、システム管理者がインストールした場合は、 メーラ内部から直接起動されることもある (訳注: 原文は mailer と書かれているが、ここでは
MUA ではなく MTA を指しているものと推測する)。 procmail は起動すると、まずいくつかの環境変数をデフォルト値に設定する。 それから
EOF (End Of File; ファイルの終端) に行き当たるまで、 標準入力からメールメッセージを読み込み、ヘッダーと本文を分離する。
その後、コマンドラインに引数が指定されていなければ、 $HOME/.procmailrc という名前のファイルを探し始める。
このファイル内の処理レシピに従って、到着したメールメッセージは適切なフォルダ (及びその他) に配送される。 もし rcfile が見つからないか、
rcfile の処理が終わったら、 procmail は メールをシステムのデフォルトのメールボックスに保存する。
rcfile が存在せず、さらにコマンドラインに -p も指定されていない場合、 /etc/procmailrc
ファイルが存在すれば、procmail は $HOME/.procmailrc を読み込む前に、 このファイルに書かれているコマンドを解釈する。
/etc/procmailrc を作成するときは十分に注意を払わなければならない。 なぜなら、状況によっては、このファイルの解釈は root 権限で
実行される場合がありえるからである (もちろん $HOME/.procmailrc の場合はそのようなことはない)
procmail は、 suid root されているか、或は root 権限で動作している場合、
機能拡張され、下位互換性のあるメール配送エージェントとして動作できるようになる。
また、procmail は汎用のメールフィルタとしても使える。 つまり、(元々は一般的な目的のメールフィルタだったが) 特別な sendmail
のルールを使用して procmail を実行できるようにする仕組みが 設けられたのである。
rcfile のフォーマットは procmailrc(5) マニュアルページで詳細に解説されている。
重みつきスコアリング手法については procmailsc(5) に詳しい説明がある。
rcfile のレシピの例は procmailex(5) マニュアルページを参照されたい。
シグナル
- TERMINATE
-
直ちに終了し、メールをキューに戻す。
- HANGUP
-
直ちに終了し、メールを送信元へ送り返す。
- INTERRUPT
-
直ちに終了し、メールを送信元へ送り返す。
- QUIT
-
直ちに終了し、ユーザには何も通知せずにメールを消去する。
- ALARM
-
強制的に時間切れで終了させる ( TIMEOUT を参照されたい)。
- USR1
-
VERBOSE=off と同じ意味。
- USR2
-
VERBOSE=on と同じ意味。
オプション
- -v
-
バージョン番号とコンパイル時の環境設定を表示して終了する。
- -p
-
古い環境をすべて保存する。 procmail は通常、起動時に TZ を除くすべての環境変数の値を消去する。 但し、どのような場合においても:
procmail が内包するあらゆるデフォルト値は同一名の既存の環境変数より優先される。 すなわち、 procmail
は既に定義されている同名の環境変数には全くお構いなく、 procmail のデフォルト値にてそれらを適切に上書きする。 procmail
で予め設定されている環境変数の一覧については、 procmailrc(5) を参照のこと。 -p と -m
が両方指定されている場合は、予め設定する環境変数は LOGNAME、HOME、SHELL、ORGMAIL および MAILDIR だけに限定される。
(訳注: procmail の通常動作は、 TZ 以外の親プロセスの環境変数を全削除すると共に、自身の動作にかかわる環境変数を多数「上書き」設定する。
-p オプションが指定されると、 procmail
は自身の動作にかかわる5つの環境変数のみを設定し、それ以外の親プロセスにて設定されている環境変数を削除しない。結果として親プロセスの環境が保持される。)
- -t
-
procmail をフェールソフトにする。 つまり、ユーザが指定したどの配送先にも procmail がメールを配送できない場合、 メールはバウンスせず
(配送エラーメールとして送り返されず) メールキューに戻る。 その後しばらくしてから再度配送を試みる。
- -f fromwhom
-
fromwhom を送信者(sender)にして、先頭の `From ' 行を再作成する (-f の代わりに、今では使われなくなっているが -r
が使用できる)。 fromwhom が `-' 1個だけの場合、procmail は `From ' 行のタイムスタンプの 更新のみ行う
(これはタイムスタンプが存在する場合である。なければ新たに作成する)。
- -o
-
誰にも `From ' 行の生成を許可させないで、単に偽物を上書きする。
- -Y
-
従来の Berkeley mailbox フォーマットを想定し、 Content-Length: フィールドはすべて無視する。
- -a 引数
-
このオプションは、 $1 にコマンドライン引数を設定する。 後続する -a 引数 はそれぞれ次の番号の変数 ($2、$3、他)
に設定される。 このオプションで procmail にメタ情報を渡すことができる。 通常、sendmail メーラルールから $@x
情報を渡すことに用いられる。
- -d recipient ...
-
これは明示的な配送モードを有効にする。 配送はローカルユーザ recipient へ行われる。 もちろん、これは procmail が root
権限を備える場合 (或は procmail が 受取人の euid 及び egid で動作している場合) にのみ可能である。 procmail
は指定された受取人に setuid され、 受取人により引数のない状態で起動されたかのようにメールを配送する。 (すなわち、 rcfile
が見つからない場合、配送は通常のメールのように 行われる)。 このオプションは -p とは互換性がない。
- -m
-
procmail を汎用のメールフィルタにする。 このモードでは rcfile をコマンドラインで一つ指定しなければならない。 rcfile
に後続する引数に制限はない。 rcfile が後方参照のない /etc/procmailrcs/ で始まる絶対パスである
(すなわち、親ディレクトリが指定できない) 場合、 セキュリティの侵害がない場合のみ procmailは rcfile (またはシンボリックリンク)
の所有者のユーザ属性になる。 このオプションのより詳細な使用法は下記の 例 を参照されたい。 引数に `='
が入っている場合は、すべて環境変数への値の割り当てと見なす。 デフォルト値が割り当てられた後に、この割り当てがI<全て>評価され、
その後に最初の rcfile がオープンされる。
その他の引数はすべて rcfile のパスと見なされる。 (このパスは絶対パスか、または `./' で始まっていれば
現在のディレクトリからの相対パスのいずれかである。 その他のすべての相対 パスは、 -m オプションを使用しない限り $HOME
からの相対パスである。 -m オプションを使用した場合、すべての相対パスは現在のディレクトリからの 相対パスとなる。) そして procmail
は、コマンドラインで最初に見つかった rcfile を使用して 起動する。 先行する引数に指定されている rcfile に合致する HOST 指示
(HOST-directive) を有しない場合、または引数が 存在しない場合にのみ、コマンドライン上にて次に指定されている rcfile が
一つだけ解析される。
rcfile を何も指定しない場合は $HOME/.procmailrc を検索する。 rcfile
が見つからなくても、環境変数のデフォルト設定と コマンドラインで指定された値に従って処理を続行する。
例
rcfile のレシピの例は procmailex(5) のマニュアルページを参照されたい。 rcfile のちょっとしたサンプルは、後述する
備考 にを参照のこと。
sendmail.cf の文法を多少なりとも知っているシステム管理者以外は、 これ以降の「例」は読み飛ばして頂きたい。
-m オプションは、sendmail.cf ファイルのルールから procmail を呼び出す際に
使われるのが一般的である。このようにするには、自分の sendmail.cf ファイルに、 (procmail を立ち上げる `local'
メーラはおそらく既に存在するだろうが、 それに加えて) `procmail' メーラを別途追加すると都合が良い。 このような `procmail'
メーラを作成するには、次のようにすればいいだろう:
- Mprocmail, P=/usr/bin/procmail, F=mSDFMhun, S=11, R=21,
A=procmail -m $h $g $u
こうすれば、 (大抵の場合 ruleset 0 にある) 以下のようなルールを使用して、 メールを procmail メーラを通じてフィルタできる。
(ただし、ルールを継続して記述するために行頭にタブがあることと、 コメントを分離するためにタブがあることに注意。)
- R$*<@some.where>$*
$#procmail $@/etc/procmailrcs/some.rc $:$1@some.where.procmail$2
R$*<@$*.procmail>$*
$1<@$2>$3 Already filtered, map back
そして /etc/procmailrcs/some.rc は次のように簡単になる:
- SENDER = "<$1>" # 空の送信者アドレスを修正 SHIFT = 1 # $@ から除去
:0 # 全てのゴミメールを放り込む * ^Subject:.*junk /dev/null
:0 w # それ以外の全てのメールを通過させる ! -oi -f "$SENDER" "$@"
/etc/procmailrcs/some.rc ファイルの中からメールを送信するときには 特に注意されたい。
最初のルールに合致するアドレスにメールを再度送信すると、メールの 無限ループを引き起こすことになる。
ファイル
- /etc/passwd
-
受取人の LOGNAME, HOME, SHELL の各変数のデフォルトを設定する。
- /var/spool/mail/$LOGNAME
-
システムメールボックス; システムメールボックスとそれを格納するすぐ上のディレクトリが存在しなければ、 両方とも procmail
が起動する度毎に作成される。
- /etc/procmailrc
-
初期のグローバル rcfile
- /etc/procmailrcs/
-
rcfile に特権を与えるパス
- $HOME/.procmailrc
-
デフォルトの rcfile
- /var/spool/mail/$LOGNAME.lock
-
システムメールボックスのlockfile (procmail が自動的に使用することはない。
但し、変数 $DEFAULT が /var/spool/mail/$LOGNAME と等しく、且つ
procmail が $DEFAULT へ配送する場合を除く。)
- /usr/sbin/sendmail
-
デフォルトのメール転送ソフト
- _????`hostname`
-
procmail が一時的に作成する、大きさが 0 バイトで `ファイル名が重複しない' ファイル
関連項目
procmailrc(5), procmailsc(5), procmailex(5), sh(1),
csh(1), mail(1), mailx(1), binmail(1), uucp(1),
aliases(5), sendmail(8), egrep(1), grep(1), biff(1),
comsat(8), lockfile(1), formail(1), cron(1)
診断 (エラーメッセージ一覧)
- Autoforwarding mailbox found (自動転送メールボックスが見つかった)
-
システムメールボックスに suid または sgid ビットがセットされている場合、 procmail
は当該メールボックスへ配送してはいけないことを示すべく、 EX_NOUSER で 終了する。
- Bad substitution of "x" ("x" の不正な置換)
-
有効な環境変数名が指定されていない。
- Closing brace unexpected (閉じ括弧が検出されない)
-
開き括弧に対応する閉じ括弧がない(ブロックがネストしている)。
- Conflicting options (オプションが矛盾する)
-
有効な組み合わせになっていないオプションがある。
- Conflicting x suppressed (矛盾する x は削除された)
-
フラグ x は当該レシピの他のフラグと併存できない。
- Couldn't create "x" ("x" を作成できない)
-
システムメールボックスが見つからず、作成できない。または作成されない。
- Couldn't create maildir part "x" (maildir "x" を作成できない)
-
maildir フォルダ "x" の作成に必要な1つまたは複数のサブディレクトリが なく、また procmail はそのサブディレクトリを作成できない。
- Couldn't create or rename temp file "x" (一時ファイル "x" の作成または名前変更ができない)
-
ディレクトリフォルダ "x" への配送の仕組みにエラーが発生した。
- Couldn't determine implicit lockfile from "x" ("x" から暗黙の lockfile が決定できない)
-
リダイレクタ `>>' がないので、単純に `$LOCKEXT' をローカルロックファイルのファイル名として使用する。
- Couldn't read "x" ("x" が読めない)
-
procmail が rcfile を開くことができなかったか、 rcfile が通常のファイルでなかったか、 或は procmail
が最大番号のファイル名のファイルを探そうとしても MH ディレクトリを開くことができなかった。
- Couldn't unlock "x" ("x" のロックが解除できない)
-
ロックファイルが既に消滅しているか、またはロックファイルがあるディレクトリの書き込み 権限がない。
- Deadlock attempted on "x" ("x" のデッドロック未遂)
-
当該レシピで指定されているローカルロックファイルは、 まだ有効に機能し続けている $LOCKFILE と同じである。
- Denying special privileges for "x" ("x" への特別な権限を拒否)
-
セキュリティ侵害が見つかった (例: -p オプションまたはコマンドラインの変数割り当て)か、 procmail
が不十分な権限しか持っていないので、 procmail は rcfile に付随する識別情報 (ユーザ ID 及びグループ ID) にならない。
(訳注: rcfile のユーザ ID とグループ ID に setuid / setgid しない。 setuid / setgid
に関するセキュリティ上の問題に対応するエラーメッセージ。)
- Descriptor "x" was not open (ファイル記述子 "x" を開けられなかった)
-
procmail は起動したが、 stdin, stdout または stderr と接続されなかった。
(おそらくセキュリティが破壊されそうになったためであろう。)
- Enforcing stricter permissions on "x" ("x" のパーミッションをより厳しくする)
-
受取人のシステムメールボックスが安全でないことがわかったので、 安全性を向上させた。
- Error while writing to "x" ("x" へ書き込みをする際にエラーが発生した)
-
サブディレクトリが存在しないか、書き込み許可がないか、パイプが壊れてしまったか、 またはディスクが一杯である。
- Exceeded LINEBUF (LINEBUF 超過)
-
バッファオーバーフローが検出された。LINEBUF が小さすぎる。 PROCMAIL_OVERFLOW が設定された。
- MAILDIR is not an absolute path (MAILDIR が絶対パスでない。)
-
- MAILDIR path too long (MAILDIR パスが長すぎる。)
-
- ORGMAIL is not an absolute path (ORGMAIL が絶対パスでない。)
-
- ORGMAIL path too long (ORGMAIL パスが長すぎる。)
-
- default rcfile is not an absolute path (デフォルトの rcfile が絶対パスでない。)
-
- default rcfile path too long (デフォルトの rcfile へのパスが長すぎる。)
-
指定された項目のフルパスは、展開すると LINEBUF よりも長かったか、或は そのフルパスの先頭がファイルセパレータではなかった。
- Excessive output quenched from "x" ("x" からの過剰な出力が抑止された)
-
プログラムまたはフィルタ "x" の出力が procmail の LINEBUF のサイズを越えたので、 溢れた残りの分は破棄され、
PROCMAIL_OVERFLOW がセットされた。
- Extraneous x ignored (無関係な x は無視された)
-
このレシピで使用しているアクション行、または他のフラグがあるので、 フラグ x は無意味になる。
- Failed forking "x" ( "x" の fork に失敗した)
-
プロセステーブルが一杯である (と共に NORESRETRY が使い尽くされた)。
- Failed to execute "x" ("x" の実行に失敗した)
-
プログラムがパスにないか、実行可能ではない。
- Forced unlock denied on "x" ("x" へのアンロックの強行に失敗した)
-
ロックファイル "x" が存在するディレクトリに書き込み許可がないか、または複数の procmail が全く同時にロックを強行しようとしている。
- Forcing lock on "x" ("x" のロックを強行する)
-
タイムアウトしたため、 ロックファイル "x" は強制的に削除される。
(LOCKTIMEOUT も合わせて参照されたい)
- Incomplete recipe (不完全なレシピ)
-
レシピの開始は見つかったが、レシピの終了が見つからないまま EOF で行き詰まってしまった。
- Insufficient privileges (不十分な権限)
-
procmail が配送モードで動作するには、procmail に root 権限が 必要であるか、 procmail の (e)uid および
(e)gid が正しいものでなければならない。メールはバウンスする。
- Invalid regexp "x" (無効な正規表現 "x")
-
正規表現 "x" にはエラーがある (多くの場合、括弧が不足していたり余計だったりする)。
- Kernel-lock failed (カーネルロックが失敗した)
-
カーネルがサポートするロック機能を試みている間に、 それら機能呼び出しのうちの1つが失敗した (通常 OS エラーを示す)。 procmail
はこのエラーを無視し、処理を続行する。
- Kernel-unlock failed (カーネルアンロックが失敗した)
-
上記説明を参照。
- Lock failure on "x" ("x" のロック失敗)
-
このエラーは、適切でない (そして不正な) ロックファイル名を指定しているか、 または権限が不足していたり存在しないサブディレクトリを指定したために
ロックファイル が作成できなかった場合にのみ生じる。
- Lost "x" ("x" が消失した)
-
procmail は自身のクローンを作ろうとしたが、 rcfile "x" が 見つからなかった (その rcfile が削除されたか、或は
rcfile が相対パスで指定されていて、 前回 procmail がその rcfile を開いてからディレクトリを変更したかのいずれかである)。
- Missing action (動作の不足)
-
現在のレシピが不完全であることがわかった。
- Missing closing brace (閉じ括弧不足)
-
ネストしているブロックの開始はあるが終了が無い。
- Missing name (名前の不足)
-
-f オプションには特別な引数が必要である。
- Missing argument (引数の不足)
-
-a オプションが指定されたが、引数が忘れられている。
- Missing rcfile (rcfile がない)
-
-m オプションが指定されているが、 -m オプションは引数として rcfile 名が必要である。
- Missing recipient (受取人がない)
-
-d オプションを指定したか、または別の名前で procmail が呼び出された。 その際、引数として 1つ以上の受取人が必要である。
- No space left to finish writing "x" ("x" の書き込みを終了させるだけの容量がない)
-
"x" を含むファイルシステムに、配送メッセージをファイルに書き込むだけの十分な空き容量がない。
- Out of memory (メモリ不足)
-
システムにスワップスペースが不足している (そして NORESRETRY が使い尽くされた)。
- Processing continued (処理が続行されている)
-
コマンドラインで認識されないオプションは無視され、そのまま処理を続行する。
- Program failure (nnn) of "x" (プログラム "x" が失敗した (nnn))
-
procmail から起動されたプログラムが、EXIT_SUCCESS (=0) ではなく nnn を返した; nnn
が負なら、そのプログラムが死んだことを示すシグナルである。
- Quota exceeded while writing "x" ("x" の書き込み中にディスクの割当量を超過した)
-
"x" を含むそのファイルシステムにおける、受取人に対するファイルサイズの制限の為に、 メッセージをファイルへ配送することが許されない。
- Renaming bogus "x" into "x" (間違っている名前 "x" を "x" に変更する)
-
受取人のシステムメールボックスが誤りだったので、 procmail は回避動作を行った。
- Rescue of unfiltered data succeeded/failed (フィルタされていないデータの救出に
-
成功した / 失敗した) (procmail から起動した) フィルタの実行に失敗したので、procmail
はメールをフィルタに渡す以前のテキストに戻そうとした。
- Skipped: "x" ("x" はスキップされた)
-
rcfile の "x" については (文法エラーに因り) 何も行われず無視された。
- Suspicious rcfile "x" (rcfile "x" は疑わしい)
-
rcfile の所有者が受取人もしくは root のいずれでもないか、 rcfile
自体またはこれが存在するディレクトリが誰でも書き込み可能になっているか、 この rcfile がデフォルトの rcfile
($HOME/.procmailrc) である場合はそのファイル自体または ファイルを含むディレクトリがグループ書き込み可能である (group
writable) かのいずれかであった。 (したがって rcfile は使われなかった)
- Terminating prematurely whilst waiting for ... (... を待っている間の中途終了)
-
procmail は .. を待っている間にシグナルを受信した。
- Timeout, terminating "x" (時間切れ: "x" の終了)
-
プログラムまたはフィルタ "x" は実行中に時間切れとなった。
- Timeout, was waiting for "x" ("x" を待っていたが時間切れになった)
-
プログラム或はフィルタの実行中、またはファイル "x" の処理中に時間切れとなった。 "x"
がプログラムまたはフィルタの場合、もはや動作していないように見えた。
- Truncated file to former size (ファイルを元のサイズに切り詰めた)
-
ファイルの配送が成功しなかったので、そのファイルは元のサイズに切り詰められた。
- Truncating "x" and retrying lock ("x" の切り詰めとロックの再試行)
-
"x" は有効なファイル名ではないか。またはファイルが空ではない。
- Unable to treat as directory "x" ("x" をディレクトリとして扱えない)
-
"x" の末尾が MH または maildir フォルダであることを示しているか、
或はそれらのいずれかへリンクされている二番目のフォルダとして記述されていたが、 "x" は既に存在していて、且つディレクトリではない。 (訳注:
メールボックス名の末尾が "/" で終る場合は maildir として、 "/." で終る場合は MH として扱われる。詳細は procmailrc
(5) を参照。)
- Unexpected EOL (予期しない EOL)
-
引用符を閉じ忘れているか、 EOF の回避をし忘れている。 (訳注: 原文及びソース中のエラーメッセージには EOL (End Of Line: 行末)
と書かれているが、ソースを参酌すると EOF (End Of File: ファイル終端) の間違いと推測する。)
- Unknown user "x" (未知のユーザ "x")
-
指定された受取人に対応する uid がない。
拡張診断
VERBOSE 変数に値を設定すると、拡張診断機能を有効/無効にできる。
- [pid] time & date
-
procmail の pid とタイムスタンプである。 procmail が診断をログ記録する時にはいつでも生成され、
少なくとも最後のタイムスタンプから1秒は経過している。
- Acquiring kernel-lock (カーネルロックの獲得)
-
procmail は、直前に開いたファイル (記述子) をカーネルロックしようとしている。
- Assigning "x" ("x" の割り当て)
-
環境変数割り当て。
- Assuming identity of the recipient, VERBOSE=off (受取人のユーザ属性を想定する。VERBOSE=off)
-
特権があればそれらをすべて破棄し、拡張診断機能を自動的に無効にする。
- Bypassed locking "x" ("x" のロック回避)
-
procmail はメールスプールディレクトリへアクセスできなかったので、カーネルのロック機能しかあてにならなかった。
- Executing "x" ("x" の実行)
-
プログラム "x" を起動する。 シェルを介在させずに procmail から直接 "x" を起動する場合、 procmail
は引数と引数の間にカンマを挿入して引数の区切りを示す。
- HOST mismatched "x" (このホストのホスト名は "x" と一致しない)
-
このホストのホスト名を "x" と認識した。 HOST には何か余計なものが含まれていた。 (訳注: ホスト名の検証結果に関するメッセージ。)
- Locking "x" ("x" をロックする)
-
ロックファイル "x" を作成する。
- Linking to "x" ("x" にリンクする)
-
ディレクトリフォルダ間にハードリンクを作成する。
- Match on "x" ("x" で一致する)
-
条件が一致した。
- Matched "x" (一致した "x")
-
"x" が MATCH に 割り当てられた。
- No match on "x" ("x" には何も一致しない)
-
条件が一致せず、レシピは読み飛ばされた。
- Non-zero exitcode (nnn) by "x" ("x" は 0 以外の終了コード (nnn) で終了した)
-
レシピの条件文として、或は `W' フラグのを用いるアクション行として procmail から起動されたプログラムは、 EXIT_SUCCESS
(=0) ではない終了コード nnn を返して終了した。 この使い方は全く予期しない状態ではないことを示す。 (訳注:
すなわち、プログラムの終了コードを条件分岐に用いるレシピにおいては、このメッセージが出ても必ずしも何らかの異常を示すものではない。)
- Notified comsat: "$LOGNAME@offset:file" (comsat の通知: "$LOGNAME@offset:file")
-
`file' の `offset' の位置に、ユーザ $LOGNAME 宛てのメールが 到着したと、comsat/biff へ通知した。 (訳注:
biff はメールの到着を通知するユーティリティ。 comsat は biff サーバ。各々 biff.1 及び comsat.1 を参照。)
- Opening "x" ("x" を開いている)
-
Opening "x" ("x" のオープン) 追加のためにファイル "x" を開く (訳注: append mode: 追加モード)
- Rcfile: "x"
-
rcfile は "x" に変更された。
- Reiterating kernel-lock (カーネルロックの繰り返し)
-
いくつかのロック方式を試行している最中に、そのうちの一つが失敗した。 その試行のすべてが間をおかず連続して成功するまで、 procmail
はカーネルロックを繰り返す。
- Score: added newtotal "x" (スコア: 追加の結果、新しい合計値は "x" となった)
-
この条件によってスコアに点が追加された。 スコアは `新しい合計値' になった。
- Unlocking "x" ("x" のロック解除)
-
ロックファイル "x" を再び削除する。
警告
システムメールボックス以外の任意のメールボックスに対して自分のメールシェルを起動する場合は、その前に lockfile(1)
を使用するシェルスクリプトを作成すること。 (もちろん、自分のメールシェルが (ローカルであるかグローバルであるかにかかわらず) rcfile
で指定したロックファイルと同じものを使用している場合は別である。)
万が一 procmail を自身の正常終了前に絶対 kill しなければならない場合は、 まず最初に通常の kill コマンドを試してみること。
(つまり kill -9 ではない 。終了コードについては シグナル を参照のこと) さもないと、 ロックファイル
がいくつか削除されない場合がある。
-t オプションは注意して使用すること。 (例えば rcfile に誤りがあるために) procmail
が何度もメールの配送失敗を繰り返すと、システムのメールキューが 溢れる可能性がある。 こうなると、ローカルの postmaster
と他のユーザの両方に迷惑をかけるだろう。
/etc/procmailrc ファイルは root 権限で実行される場合があるので、 このファイルに書き込む内容には十分に注意すること。
SHELL は現在の受取人のシェルと同じになるため、 procmail でシェルを起動する
必要がある場合は、最初にこの変数を何らかの無難な値に設定しておくとよい。 DROPPRIVS も参照のこと。
/etc/procmailrcs/ にあるファイルに対して chown(1)
が許可されていれば、そのファイルの現在の所有者は、そのファイルを rootにでも (他の誰にでも) chown できることを心に留めておくこと。
そこで、セキュリティを最大限強化するため、このディレクトリは 必ず root だけが 実行可能 であることを確認すること。
自分のドメイン宛ての全てのメールに対して POP アカウントが1つしかないような、 1つのメールボックスを複数のユーザが共有する場合、 procmail
は適切なツールではない。 使用している MTA をどうにかして設定して、 そのメッセージの宛先を procmail
に伝えるいくつかのヘッダを受取人データのエンベロープに追加すればそのような共有も可能になるだろう。 しかしこれは通常正しい行為ではない。 おそらく、その
MTA に「仮想ユーザテーブル」機能が備わっているかどうかを調べるか、 Fetchmail の `multidrop' 機能を調べる方がいい。
バグ
procmail は強制的にロックファイルを削除した後、 新しいロックファイルを作成する前に $SUSPEND 秒待つ。
これは、古くなったロックファイルを削除しようとする他のプロセスが、 新たに作成されたロックファイルを誤って削除しないようにする為である。
procmail は、暴走したフィルタを終了する為に通常の TERMINATE シグナルを使用する。
しかし、そのシグナルにフィルタが応答するかどうかは確認しない。 それに procmail がシグナルを送るのはそのフィルタ自体であり、
そのフィルタのどの子プロセスにもシグナルは送らない。
複数行に渡る、長過ぎる Content-Length: フィールドは正しく処理されない。
複数行に渡る一つのヘッダに含まれる改行は、 マッチングの際にはそれをそのまま1個の空白として扱うのではなく、 無視されるだろう。
その他
メールヘッダに Content-Length: フィールドがあり、 -Y オプションが指定されていなければ、 procmail
はそのフィールドに指定されているサイズを正しいサイズになるように調整する。 その際、 procmail は Content-Length:
フィールドのフィールド幅を変更しない。
Content-Length: フィールドがない場合、または -Y オプションが指定されている状態で procmail
が通常のメールフォルダに メールを追加する場合、メッセージ本文中で消印 (postmark) と間違えそうな 全ての行の行頭には `>'
が追加され、これにより偽造メールヘッダを無害化する。 この消印は、以下の正規表現を用いて検索する。 (訳注: 消印 (postmark) はエンベロープ
From を示す行のことである。 mbox 形式メールボックスにメッセージを配送する際には、 識別文字列 "From " と混同しないように、
本文中で行頭に "From" がある場合は、該当する全ての行の行頭に引用符 '>' を付加する。 なお、引用符の追加は MH フォルダ形式と
maildir フォルダ形式では行われない。)
- `\nFrom '
明示的配送モードで使用される配送先のユーザ名が /etc/passwd になければ、 procmail
は明示的配送モードになっていなかったものとして処理を継続する。 明示的配送モードになっておらず、且つ実行中の procmail の uid に 対応する
/etc/passwd エントリがない場合、HOME , LOGNAME , SHELL 及び ORGMAIL の各変数のデフォルト値は、それぞれ /
, #uid , /bin/sh , /tmp/dead.letter になる。
明示的配送モードの時、メッセージヘッダの先頭に `From ' 行がない場合、procmail はこれを生成する。 `From '行が既にある場合は、
procmail はそれには手を付けずにそのまま残す。 procmail を起動したユーザのユーザ或はグループ ID が root, daemon,
uucp, mail, x400, network, list, slist, lists or news のいずれでもなく、それでも新しい `From
' 行を生成ないし受け入れる 必要がある場合は、偽造メールと区別しやすくするために procmail は `>From ' 行を追加する。
セキュリティ上の理由から、 procmail が使用する rcfile は絶対パスか $HOME からの相対パス指定であり、且つその所有者が受取人または
root であり、 且つ rcfile 自体とこれを含むディレクトリの両方共誰でも書き込みできる状態であってはならない (訳注: world
writable: other (その他) の書き込みビット (w) が立っている状態を指す。 man chmod 参照。)
更に、$HOME/.procmailrc ファイルの場合は、同一グループユーザが書き込み可能であってはならないし、 また $HOME
ディレクトリが同一グループから書き込み可能であってはならない。
/var/spool/mail/$LOGNAME が偽のメールボックスである (すなわち、メールボックスの所有者が受取人でないか、
メールボックスが書き込みできないか、メールボックスがシンボリックリンク或はハードリンクである) 場合、 procmail は起動時にそのメールボックスを
`BOGUS.$LOGNAME.' で始まり、 inode-sequence-code で終わるファイル名に変更しようとする。
もしこれができないとわかると、 ORGMAIL には初期値が 設定されない。 結果として、適切な rcfile
のない状態でメールの配送が行われなくなる。
/var/spool/mail/$LOGNAME は正規のメールボックスだが、 パーミッションが甘すぎる場合は、 procmail はこれを修正する。
procmail にこのようなパーミッション操作をさせないようにするには、 メールボックスに必ず u+x ビットを立てること。
メールをディレクトリ、MH フォルダ、または maildir フォルダに配送する際には、 procmail
の複数起動による混乱を防ぐ為にロックファイルを使う必要は ない。
MH フォルダへの配送は、通常のディレクトリや mailbox への配送よりも若干の時間を 要する。 これは procmail が
(すぐに使えるファイル名を採用しないで) MH フォルダ内で ファイル名として使える次の番号を検索しなければならないからである。
-t オプションが指定されていない限り、procmail は一般的な失敗に関して EX_CANTCREAT を返す。 -t
オプションが指定されている場合には EX_TEMPFAIL を返す。
egrep 風のヘッダ検索をより良く行う為に、 procmail は複数行にわたる 全てのヘッダフィールドを連結して一行にする。
但し、これは内部的な処理であり、メールを配送する際には、 改行は元の状態に戻る。
(たとえば procmail が違う名前でリンクされていて、その違う名前で 起動される場合のように) 起動する procmail の名前が
`procmail' で 始まっていない場合、その procmail は明示的配送モードで起動され、 (-d オプションが指定された時と同様に)
コマンドラインの引数に 受取人名が必要になる。
Comsat/biff 通知は udp を使用して行われる。 この通知は、procmail が通常のログファイルのエントリを生成した時に
一回送出される。通知メッセージは下記の拡張フォーマット (または最後の配送先がファイル以外の時のフォーマットと酷似したもの) である:
- $LOGNAME@offset_of_message_in_mailbox :absolute_path_to_mailbox
procmail がメールの配送の際にファイルを開く時は、 procmail は常に fcntl(2) によるカーネルロックの方法を使用する。
procmail は NFS 環境でも使用可能で、 8 ビット問題はない。(訳注: 8bit clean:
データの8ビット目を遮ることなく透過的にデータ転送を行えることを指す。)
備考
procmail をコマンドラインオプション -h または -? にて起動すると、 コマンドラインヘルプとレシピフラグのクイックリファレンスのページが
表示される。
メールフィルタ(特に procmail)に関して、初心者向けに優れた FAQ がある: これは Nancy McGough
<nancym@ii.com> が保守しており、 mail-server@rtfm.mit.edu
に以下の内容の本文をメールすれば入手できる (訳注: http://www.faqs.org/faqs/mail/filtering-faq/
からも閲覧可能)。
- send usenet/news.answers/mail/filtering-faq
もし procmail が当該ホストのデフォルトのメール配送エージェントとしてインストール されていなければ
(システム管理者に問い合わせること)、自分宛のメールが到着した時に 起動されることを確認する必要がある。 この場合、自分の $HOME/.forward
に以下の行を書いておくこと (このファイルは誰でも読み込み可能で なければならない ことに注意)。
その際、必ずシングルクォートとダブルクォートを含むこと。 さらに、自分のサイトで smrsh (the SendMail Restricted
SHell) が動いている と分かっていれば別だが、そうでなければ、このパスは 絶対パス にすること。
" |exec /usr/bin/procmail"
procmail は、既に一杯になっているシステムメールボックスの 後処理にも使用できる。 $HOME/.forward ファイルを使いたくないとか、
使用できない場合にこれが役に立つ場合がある。 (この場合は以下のスクリプトを cron(1)
から定期的に呼び出しても良いし、メールを読み始める際に必ず起動するようにしても良い。)
- #!/bin/sh
ORGMAIL=/var/spool/mail/$LOGNAME
if cd $HOME &&
test -s $ORGMAIL &&
lockfile -r0 -l1024 .newmail.lock 2>/dev/null
then
trap "rm -f .newmail.lock" 1 2 3 13 15
umask 077
lockfile -l1024 -ml
cat $ORGMAIL >>.newmail &&
cat /dev/null >$ORGMAIL
lockfile -mu
formail -s procmail <.newmail &&
rm -f .newmail
rm -f .newmail.lock
fi
exit 0
$HOME/.procmailrc のちょっとしたサンプル:
PATH=/usr/local/bin:/usr/bin:/bin
MAILDIR=$HOME/Mail #you'd better make sure it exists
DEFAULT=$MAILDIR/mbox #completely optional
LOGFILE=$MAILDIR/from #recommended
:0:
* ^From.*berg
from_me
:0
* ^Subject:.*Flame
/dev/null
その他の rcfile レシピの例は procmailex(5) マニュアルページを参照されたい。
SOURCE
このプログラムは procmail mail-processing-package (v3.22) の一部で
あり、http://www.procmail.org/ または ftp.procmail.org の
pub/procmail/ で入手できる。
MAILINGLIST
procmail パッケージの全てのプログラムに関連した質問へのメーリングリストが ある:
- <procmail-users@procmail.org>
- 質問/回答の投稿用アドレス。
<procmail-users-request@procmail.org>
- 参加申込用のアドレス。
新しいバージョンやオフィシャルパッチについての情報を常時入手したい場合 には、以下のメールアドレスに参加申込をすること:
- procmail-announce-request@procmail.org
(これは購読専用のメーリングリストである)。
著者
Stephen R. van den Berg
- <srb@cuci.nl>
Philip A. Guenther
- <guenther@sendmail.com>
Index
- 名前
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- $HOME/.procmailrc のちょっとしたサンプル:
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Time: 03:33:43 GMT, December 05, 2022