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.\" 2002-11-19 Robert Love - initial version
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.\" 2004-04-22 aeb - added glibc prototype history
.\" 2005-05-03 mtk - noted that sched_setaffinity may cause thread
.\" migration and that CPU affinity is a per-thread attribute.
.\" 2006-02-03 mtk -- Major rewrite
.\" 2008-11-12, mtk, removed CPU_*() macro descriptions to a
.\" separate CPU_SET(3) page.
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.TH SCHED_SETAFFINITY 2 2014\-12\-31 Linux "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
sched_setaffinity, sched_getaffinity \- スレッドの CPU affinity マスクを設定・取得する
.SH 書式
.nf
\fB#define _GNU_SOURCE\fP /* feature_test_macros(7) 参照 */
\fB#include \fP
.sp
\fBint sched_setaffinity(pid_t \fP\fIpid\fP\fB, size_t \fP\fIcpusetsize\fP\fB,\fP
\fB const cpu_set_t *\fP\fImask\fP\fB);\fP
.sp
\fBint sched_getaffinity(pid_t \fP\fIpid\fP\fB, size_t \fP\fIcpusetsize\fP\fB,\fP
\fB cpu_set_t *\fP\fImask\fP\fB);\fP
.fi
.SH 説明
スレッドの CPU affinity (親和度) マスクは、そのスレッドが 実行を許可されている CPU の集合を決定する。
マルチプロセッサシステムでは、CPU affinity マスクを設定することで 性能上のメリットを得られる可能性がある。 例えば、特定のスレッドを一つの
CPU に括り付け (すなわち、そのスレッドの affinity マスクを一つの CPU に設定し)、 他の全てのスレッドの affinity
マスクからその CPU を除外することで、 確実にそのスレッドの実行速度を最大にすることができる。 また、あるスレッドの実行を一つの CPU
に限定することで、 一つの CPU での実行を停止してから別の CPU で実行を再開するときに発生する キャッシュ無効化 (cache
invalidation) による性能面の劣化を避けることもできる。
CPU affinity マスクは「CPU の集合」を表す \fIcpu_set_t\fP 構造体で表現され、 \fIcpu_set_t\fP へのポインター
\fImask\fP で指定される。 CPU 集合を操作するためのマクロ群については \fBCPU_SET\fP(3) で記載されている。
\fBsched_setaffinity\fP() は、スレッド ID が \fIpid\fP のスレッドの CPU affinity マスクを \fImask\fP
で指定された値に設定する。 \fIpid\fP が 0 の場合、呼び出し元スレッドが使われる。 \fIcpusetsize\fP 引き数には \fImask\fP
が指すデータの長さ (バイト単位) である。 通常は、この引き数には \fIsizeof(cpu_set_t)\fP を指定すればよい。
\fIpid\fP で指定されたスレッドが \fImask\fP で指定された CPU のいずれかで現在実行されていない場合、 そのスレッドは \fImask\fP
で指定された CPU のいずれかに移動される。
\fBsched_getaffinity\fP() は、 スレッド ID が \fIpid\fP のスレッドの affinity マスクを \fImask\fP が指す
\fIcpu_set_t\fP 構造体に書き込む。 \fIcpusetsize\fP 引き数には \fImask\fP の (バイト単位の) 大きさを指定する。
.SH 返り値
成功した場合、 \fBsched_setaffinity\fP() と \fBsched_getaffinity\fP() は 0 を返す。 エラーの場合は
\-1 を返し、 \fIerrno\fP を適切に設定する。
.SH エラー
.TP
\fBEFAULT\fP
指定されたメモリー番地が不正である。
.TP
\fBEINVAL\fP
システム上に現在実際に存在し、かつ "cpuset" 機構が課す制限においてそのスレッドに対して許可されている プロセッサが、 affinity
ビットマスク \fImask\fP に含まれていない。 "cpuset" 機構については \fBcpuset\fP(7) を参照。
.TP
\fBEINVAL\fP
(\fBsched_getaffinity\fP() と、カーネル 2.6.9 以前の \fBsched_setaffinity\fP())
\fIcpusetsize\fP がカーネルで使われている affinity マスクのサイズより小さい。
.TP
\fBEPERM\fP
(\fBsched_setaffinity\fP()) 呼び出し元のスレッドに適切な特権がなかった。 呼び出し元は、実効ユーザー ID が \fIpid\fP
で識別されるスレッドの実ユーザー ID または実効ユーザー ID と同じであるか、 \fBCAP_SYS_NICE\fP ケーパビリティ
(capability) を持たなければならない。
.TP
\fBESRCH\fP
ID が \fIpid\fP のスレッドが見つからなかった。
.SH バージョン
CPU affinity システムコールは Linux kernel 2.5.8 で導入された。 これらのシステムコールのラッパー関数は glibc
2.3 で導入された。 最初は、glibc のインターフェースには \fIunsigned int\fP 型の \fIcpusetsize\fP
引き数が入っていた。 glibc 2.3.3 では \fIcpusetsize\fP 引き数が削除されたが、glibc 2.3.4 で \fIsize_t\fP
型で復活した。
.SH 準拠
これらのシステムコールは Linux 固有である。
.SH 注意
\fBsched_setaffinity\fP() を呼び出した後は、スレッドが実際に実行される CPU の集合は、 \fImask\fP
引き数で指定された集合と、システム上に実際に存在する CPU の集合の 共通集合 (AND) となる。 "cpuset"
機構が使用されている場合には、スレッドが動作する CPU 集合 に対してシステムはさらに制限を加えるかもしれない ("cpuset" 機構については
\fBcpuset\fP(7) を参照)。 スレッドが動作する実際の CPU 集合に対する制限はカーネルにより 暗黙のうちに適用される。
システムで利用可能な CPU 数を判定する方法はいくつかある。 \fI/proc/cpuinfo\fP の内容を調べる、 \fBsysconf\fP(3) を使って
\fB_SC_NPROCESSORS_CONF\fP と \fB_SC_NPROCESSORS_ONLN\fP の値を取得する、
\fI/sys/devices/system/cpu/\fP の CPU ディレクトリの一覧を調べる、などがある。
\fBsched\fP(7) に Linux のスケジューリング方式についての説明がある。
.PP
affinity マスクはスレッド単位の属性で、スレッドグループの 各スレッド単位に独立して調整することができる。 \fBgettid\fP(2)
コールからの返り値をこのコールの \fIpid\fP 引き数として渡すことができる。 \fIpid\fP に 0 を指定すると呼び出し元のスレッドの属性が設定され、
\fBgetpid\fP(2) コールからの返り値を \fIpid\fP に指定するとスレッドグループのメインスレッドの属性が設定される (POSIX スレッド
API を使用している場合、 \fBsched_setaffinity\fP() の代わりに \fBpthread_setaffinity_np\fP(3)
を使用すること)。
\fBfork\fP(2) 経由で生成された子プロセスは親プロセスの CPU affinity マスクを継承する。 affinity マスクは
\fBexecve\fP(2) の前後で保存される。
.SS "C ライブラリとカーネル ABI の違い"
このマニュアルページでは CPU affinity コールの glibc インターフェースを
説明している。実際のシステムコールインターフェースは少し違っており、 実際の実装では CPU 集合は簡単なビットマスクであるという実状を反映し、
\fImask\fP の型が \fIunsigned long\ *\fP となっている。 成功時には、生の \fBsched_getaffinity\fP()
システムコール自身は \fIcpumask_t\fP データ型の (バイト単位の) 大きさを返す。 \fIcpumask_t\fP はカーネル内部で CPU
集合のビットマスクを表現するのに 使われているデータ型である。
.SH 関連項目
.ad l
.nh
\fBlscpu\fP(1), \fBnproc\fP(1), \fBtaskset\fP(1), \fBclone\fP(2), \fBgetcpu\fP(2),
\fBgetpriority\fP(2), \fBgettid\fP(2), \fBnice\fP(2), \fBsched_get_priority_max\fP(2),
\fBsched_get_priority_min\fP(2), \fBsched_getscheduler\fP(2),
\fBsched_setscheduler\fP(2), \fBsetpriority\fP(2), \fBCPU_SET\fP(3),
\fBpthread_setaffinity_np\fP(3), \fBsched_getcpu\fP(3), \fBcapabilities\fP(7),
\fBcpuset\fP(7), \fBsched\fP(7)
.SH この文書について
この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部
である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。