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.\" Linux libc source code
.\" Solaris manpages
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.\" Updated 2013-03-26, Akihiro MOTOKI
.\" Updated 2013-07-22, Akihiro MOTOKI
.\"
.TH GETUTENT 3 2020\-06\-09 "" "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
getutent, getutid, getutline, pututline, setutent, endutent, utmpname \- utmp
ファイルのエントリーにアクセスする
.SH 書式
\fB#include \fP
.PP
\fBstruct utmp *getutent(void);\fP
.br
\fBstruct utmp *getutid(const struct utmp *\fP\fIut\fP\fB);\fP
.br
\fBstruct utmp *getutline(const struct utmp *\fP\fIut\fP\fB);\fP
.PP
\fBstruct utmp *pututline(const struct utmp *\fP\fIut\fP\fB);\fP
.PP
\fBvoid setutent(void);\fP
.br
\fBvoid endutent(void);\fP
.PP
\fBint utmpname(const char *\fP\fIfile\fP\fB);\fP
.SH 説明
新しいアプリケーションでは、これらの関数の "utmpx" 版を使用すべきである。 これらは POSIX.1 で規定されている。「準拠」の節を参照。
.PP
\fButmpname\fP() は、他の utmp 関数がアクセスする (utmp フォーマットの) ファイルの名前を指定する。他の関数を使う前に
\fButmpname\fP() を使って ファイル名の指定を行わなかった場合は、 \fI\fP で 定義されている
\fB_PATH_UTMP\fP がファイル名とみなされる。
.PP
\fBsetutent\fP() は、ファイルポインターを utmp ファイルの先頭に移動する。
一般的には、他の関数を使う前にこの関数を呼び出しておくと良いだろう。
.PP
\fBendutent\fP() は utmp ファイルをクローズする。ユーザーコードで
他の関数を使ってこのファイルにアクセスを行った時は、最後にこの関数を 呼び出すべきである。
.PP
\fBgetutent\fP() は utmp ファイルの現在のファイル位置から一行読み込み、 行の各フィールドの内容を収めた構造体へのポインターを返す。
この構造体の定義は \fButmp\fP(5) に書かれている。
.PP
\fBgetutid\fP() は、 utmp ファイル中の現在の位置から順方向 (末尾に向かう方向) へ \fIut\fP に基く検索を行う。
\fIut\fP\->ut_type が \fBRUN_LVL\fP, \fBBOOT_TIME\fP, \fBNEW_TIME\fP, \fBOLD_TIME\fP の
いずれかなら、 \fBgetutid\fP() は \fBut_type\fP フィールドが \fIut\fP\->ut_type
に一致する最初のエントリーを探す。 \fIut\fP\->ut_type が \fBINIT_PROCESS\fP, \fBLOGIN_PROCESS\fP,
\fBUSER_PROCESS\fP, \fBDEAD_PROCESS\fP のいずれかなら、 \fBgetutid\fP() は \fIut_id\fP フィールドが
\fIut\fP\->ut_id に 一致する最初のエントリーを探す。
.PP
\fBgetutline\fP() は、 utmp ファイルの現在の位置から末尾に向かって検索を行う。 \fIut_type\fP が
\fBUSER_PROCESS\fP または \fBLOGIN_PROCESS\fP で、 \fIut_line\fP フィールドが \fIut\fP\->ut_line
にマッチする最初の行を返す。
.PP
\fBpututline\fP() は \fIutmp\fP 構造体 \fIut\fP の内容を utmp ファイルに書き出す。 \fBpututline\fP() は
\fBgetutid\fP() を用いて、新たなエントリーを 挿入するのにふさわしい場所を探す。 \fIut\fP を挿入するふさわしい場所が
見つからない場合は、新たなエントリーをファイルの末尾に追加する。
.SH 返り値
\fBgetutent\fP(), \fBgetutid\fP(), \fBgetutline\fP() は、成功すると \fIstruct utmp\fP
へのポインターを返す。 失敗すると NULL を返す (レコードが見つからなかった場合も失敗となる)。 この \fIstruct utmp\fP
は静的な記憶領域に確保され、次にこれらの関数を 呼び出した際に上書きされるかもしれない。
.PP
\fBpututline\fP() は成功すると \fIut\fP を返す。失敗すると NULL を返す。
.PP
\fButmpname\fP() は、新しい名前の格納に成功すると 0 を返し、失敗すると \-1 を返す。
.PP
エラーが発生した場合、これらの関数は \fIerrno\fP にエラーの原因を示す値を設定する。
.SH エラー
.TP
\fBENOMEM\fP
メモリー不足。
.TP
\fBESRCH\fP
レコードが見つからなかった。
.PP
関数 \fBsetutent\fP(), \fBpututline\fP(), \fBgetut*\fP() は \fBopen\fP(2)
に書かれている理由でも失敗することがある。
.SH ファイル
.TP
\fI/var/run/utmp\fP
現在ログイン中のユーザーのデータベース
.TP
\fI/var/log/wtmp\fP
ユーザーログインの履歴データベース
.SH 属性
この節で使用されている用語の説明については、 \fBattributes\fP(7) を参照。
.TS
allbox;
lb lb lbw28
l l l.
インターフェース 属性 値
T{
\fBgetutent\fP()
T} Thread safety T{
MT\-Unsafe init race:utent
.br
race:utentbuf sig:ALRM timer
T}
T{
\fBgetutid\fP(),
.br
\fBgetutline\fP()
T} Thread safety T{
MT\-Unsafe init race:utent
.br
sig:ALRM timer
T}
T{
\fBpututline\fP()
T} Thread safety T{
MT\-Unsafe race:utent
.br
sig:ALRM timer
T}
T{
\fBsetutent\fP(),
.br
\fBendutent\fP(),
.br
\fButmpname\fP()
T} Thread safety MT\-Unsafe race:utent
.TE
.sp 1
In the above table, \fIutent\fP in \fIrace:utent\fP signifies that if any of the
functions \fBsetutent\fP(), \fBgetutent\fP(), \fBgetutid\fP(), \fBgetutline\fP(),
\fBpututline\fP(), \fButmpname\fP(), or \fBendutent\fP() are used in parallel in
different threads of a program, then data races could occur.
.SH 準拠
XPG2, SVr4.
.PP
XPG2 と SVID 2 では、 \fBpututline\fP() 関数は値を返さないとされており、 (AIX, HP\-UX などの)
多くのシステムではそうなっている。 HP\-UX では、上述の \fBpututline\fP() と同じプロトタイプを持つ 新しい関数
\fB_pututline\fP() が導入されている。
.PP
現在では、Linux 以外のシステムでは、これらの関数は全て廃止されている。 SUSv1 の後に出てきた POSIX.1\-2001 と
POSIX.1\-2008 では、もはやこれらの関数はなく、 代わりに以下のものを使う。
.PP
.RS 4
.EX
\fB#include \fP
.PP
\fBstruct utmpx *getutxent(void);\fP
\fBstruct utmpx *getutxid(const struct utmpx *);\fP
\fBstruct utmpx *getutxline(const struct utmpx *);\fP
\fBstruct utmpx *pututxline(const struct utmpx *);\fP
\fBvoid setutxent(void);\fP
\fBvoid endutxent(void);\fP
.EE
.RE
.PP
これらの関数は glibc により提供されており、 "x" がない関数と同じ処理を行うが、 \fIstruct utmpx\fP を使用する。 Linux
では、この構造体の定義は \fIstruct utmp\fP と同じになっている。 完全を期すために、glibc では \fButmpxname\fP()
も提供している。この関数は POSIX.1 では規定されていない。
.PP
Linux 以外のシステムでは、 \fIutmpx\fP 構造体は \fIutmp\fP 構造体の上位集合 (superset) になっていて、
追加のフィールドがあったり、既存のフィールドのサイズが大きくなっていたり するものもある。複数のファイルが使用されている場合もあり、多くの場合
\fI/var/*/utmpx\fP と \fI/var/*/wtmpx\fP というファイルが使われる。
.PP
一方、 Linux glibc では複数の \fIutmpx\fP ファイル は使われていない。
\fIutmp\fP 構造体が十分に大きいからである。
上記の名前に "x" が付いた関数は "x" が付いていない対応する関数の別名と
なっている (例えば \fIgetutxent\fP() は \fIgetutent\fP() の別名である)。
.SH 注意
.SS "glibc での注意"
上記の関数群はスレッドセーフではない。 glibc にはリエントラント版 (reentrant) が追加されている。
.PP
.nf
\fB#include \fP
\fBint getutent_r(struct utmp *\fP\fIubuf\fP\fB, struct utmp **\fP\fIubufp\fP\fB);\fP
\fBint getutid_r(struct utmp *\fP\fIut\fP\fB,\fP
\fB struct utmp *\fP\fIubuf\fP\fB, struct utmp **\fP\fIubufp\fP\fB);\fP
\fBint getutline_r(struct utmp *\fP\fIut\fP\fB,\fP
\fB struct utmp *\fP\fIubuf\fP\fB, struct utmp **\fP\fIubufp\fP\fB);\fP
.fi
.PP
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7) 参照):
.PP
\fBgetutent_r\fP(), \fBgetutid_r\fP(), \fBgetutline_r\fP():
.nf
_GNU_SOURCE
|| /* since glibc 2.19: */ _DEFAULT_SOURCE
|| /* glibc <= 2.19: */ _SVID_SOURCE || _BSD_SOURCE
.fi
.PP
これらの関数は GNU での拡張であり、末尾の _r をとった名前の関数と 同様の機能を持つ。 \fIubuf\fP
パラメーターは結果を格納する場所を指定する。 成功すると 0 を返し、結果へのポインターを \fI*ubufp\fP に書き込む。エラーの場合 \-1 を返す。
上記の関数に対応する utmpx 版は存在しない (POSIX.1 ではこれらの関数を規定されていない)。
.SH 例
以下の例では、 utmp のレコードの追加・削除を行っている。このコードは、 擬似端末 (pseudo terminal)
から実行されることを想定している。 実際のアプリケーションでは \fBgetpwuid\fP(3) と \fBttyname\fP(3)
の戻り値を検査するべきである。
.PP
.EX
#include
#include
#include
#include
#include
#include
int
main(int argc, char *argv[])
{
struct utmp entry;
system("echo before adding entry:;who");
entry.ut_type = USER_PROCESS;
entry.ut_pid = getpid();
strcpy(entry.ut_line, ttyname(STDIN_FILENO) + strlen("/dev/"));
/* only correct for ptys named /dev/tty[pqr][0\-9a\-z] */
strcpy(entry.ut_id, ttyname(STDIN_FILENO) + strlen("/dev/tty"));
time(&entry.ut_time);
strcpy(entry.ut_user, getpwuid(getuid())\->pw_name);
memset(entry.ut_host, 0, UT_HOSTSIZE);
entry.ut_addr = 0;
setutent();
pututline(&entry);
system("echo after adding entry:;who");
entry.ut_type = DEAD_PROCESS;
memset(entry.ut_line, 0, UT_LINESIZE);
entry.ut_time = 0;
memset(entry.ut_user, 0, UT_NAMESIZE);
setutent();
pututline(&entry);
system("echo after removing entry:;who");
endutent();
exit(EXIT_SUCCESS);
}
.EE
.SH 関連項目
\fBgetutmp\fP(3), \fButmp\fP(5)
.SH この文書について
この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
\%https://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。