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.TH WORDEXP 3 2020\-11\-01 "" "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
wordexp, wordfree \- posix シェルのように単語の展開を行う
.SH 書式
\fB#include \fP
.PP
\fBint wordexp(const char *\fP\fIs\fP\fB, wordexp_t *\fP\fIp\fP\fB, int \fP\fIflags\fP\fB);\fP
.PP
\fBvoid wordfree(wordexp_t *\fP\fIp\fP\fB);\fP
.PP
.RS -4
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7) 参照):
.RE
.PP
\fBwordexp\fP(), \fBwordfree\fP(): _XOPEN_SOURCE
.SH 説明
関数 \fBwordexp\fP() はシェルのように文字列 \fIs\fP を展開し、 \fIp\fP で指し示す構造体に結果を返す。 データ型
\fIwordexp_t\fP は少なくともフィールド \fIwe_wordc\fP, \fIwe_wordv\fP, \fIwe_offs\fP を持つ構造体である。
フィールド \fIwe_wordc\fP は \fIsize_t\fP であり、 \fIs\fP を展開した結果に単語がいくつあるかを表す。 フィールド
\fIwe_wordv\fP は \fIchar\ **\fP であり、見つかった単語の配列を指し示す。 \fIsize_t\fP 型のフィールド \fIwe_offs\fP
は、 \fIwe_wordv\fP 配列にある初期要素のうちいくつが NULL で埋められるべきかを表すのに使われたりする (\fIflags\fP
により決定される。下記を参照。)。
.PP
関数 \fBwordfree\fP() は割り当てたメモリーを再度解放する。 より正確にいうと、この関数はその引数を解放するのではなく、 配列
\fIwe_wordv\fP とそれが指し示す文字列を解放する。
.SS 文字列引数
この展開はシェルによるコマンドのパラメーターの展開 (\fBsh\fP(1) を参照) と同じであるので、文字列 \fIs\fP
はシェルコマンドパラメーターで不正とされる文字を含んではならない。 特にエスケープされていない改行、|, &, ;, <, >, (,
), {, } 文字を コマンド置換やパラメーター置換の場面以外に含めてはならない。
.PP
引数 \fIs\fP にクォートしていないコメント文字 # で始まる単語が含まれている場合には、 その単語とそれ以降の単語が無視されるか、 それとも #
がコメント文字として扱わないかは、規定されていない。
.SS 展開
実行される展開は、以下の段階で構成される: チルダ展開 (\(tiuser を user のホームディレクトリに置き換える)、 変数展開 ($FOO
を環境変数 FOO の値に置き換える)、 コマンド展開 ($(command) または \`command\` を command
の出力で置き換える)、 算術展開、フィールド分割、ワイルドカード展開、クォートの除去。
.PP
特殊なパラメーター ($@, $*, $#, $?, $\-, $$, $!, $0) の 展開結果は規定されていない。
.PP
フィールド分割は環境変数 $IFS を用いて行われる。 この環境変数が設定されていない場合、 フィールド区切り文字はスペース・タブ・改行である。
.SS 出力される配列
配列 \fIwe_wordv\fP は見つかった単語をを含み、最後に NULL が続く。
.SS "flags 引数"
\fIflags\fP 引数は以下の値のビット包含的 OR である:
.TP
\fBWRDE_APPEND\fP
見つかった単語を前回の呼び出し結果の配列に追加する。
.TP
\fBWRDE_DOOFFS\fP
初期状態である \fIwe_offs\fP 個の NULL を配列 \fIwe_wordv\fP に挿入する (これらは返される \fIwe_wordc\fP
にはカウントされない)。
.TP
\fBWRDE_NOCMD\fP
コマンド置換を行わない。
.TP
\fBWRDE_REUSE\fP
引数 \fIp\fP は前回の \fBwordexp\fP() の呼び出し結果であり、 \fBwordfree\fP() が (まだ) 呼び出されない。
割り当てられた領域を再利用する。
.TP
\fBWRDE_SHOWERR\fP
通常はコマンド置換のときに \fIstderr\fP が \fI/dev/null\fP にリダイレクトされる。 このフラグは \fIstderr\fP
をリダイレクトしないように指定する。
.TP
\fBWRDE_UNDEF\fP
未定義のシェル変数を展開しようとした場合に、エラーとして扱う。
.SH 返り値
成功した場合は 0 が返される。 エラーの場合は以下の 5 つの値のうちの 1 つが返される。
.TP
\fBWRDE_BADCHAR\fP
改行または |, &, ;, <, >, (, ), {, } のうちの 1 つが不正に出現した。
.TP
\fBWRDE_BADVAL\fP
未定義のシェル変数が参照され、かつ \fBWRDE_UNDEF\fP フラグでこれをエラーとして扱うように指示されている。
.TP
\fBWRDE_CMDSUB\fP
コマンド置換が要求されたが、 \fBWRDE_NOCMD\fP フラグでこれをエラーとして扱うように指示されていた。
.TP
\fBWRDE_NOSPACE\fP
メモリーが足りない。
.TP
\fBWRDE_SYNTAX\fP
対応する括弧がない、クォートが合致しないといった、 シェルの書式エラー。
.SH バージョン
\fBwordexp\fP() と \fBwordfree\fP() は、バージョン 2.1 以降の glibc で提供されている。
.SH 属性
この節で使用されている用語の説明については、 \fBattributes\fP(7) を参照。
.TS
allbox;
lb lb lbw30
l l l.
インターフェース 属性 値
T{
\fBwordexp\fP()
T} Thread safety T{
MT\-Unsafe race:utent const:env
.br
env sig:ALRM timer locale
T}
T{
\fBwordfree\fP()
T} Thread safety MT\-Safe
.TE
.sp 1
In the above table, \fIutent\fP in \fIrace:utent\fP signifies that if any of the
functions \fBsetutent\fP(3), \fBgetutent\fP(3), or \fBendutent\fP(3) are used in
parallel in different threads of a program, then data races could occur.
\fBwordexp\fP() calls those functions, so we use race:utent to remind users.
.SH 準拠
POSIX.1\-2001, POSIX.1\-2008.
.SH 例
以下のサンプルプログラムの出力はだいたい "ls [a\-c]*.c" と同じになる。
.PP
.EX
#include
#include
#include
int
main(int argc, char **argv)
{
wordexp_t p;
char **w;
wordexp("[a\-c]*.c", &p, 0);
w = p.we_wordv;
for (int i = 0; i < p.we_wordc; i++)
printf("%s\en", w[i]);
wordfree(&p);
exit(EXIT_SUCCESS);
}
.EE
.SH 関連項目
\fBfnmatch\fP(3), \fBglob\fP(3)
.SH この文書について
この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
\%https://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。