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.\" Updated 2006-07-19, Akihiro MOTOKI , LDP v2.36
.\" Updated 2012-05-30, Akihiro MOTOKI
.\"
.TH PASSWD 5 2018\-04\-30 Linux "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
passwd \- パスワードファイル
.SH 説明
\fI/etc/passwd\fP ファイルは、そのシステムのユーザーのログインアカウントリス
トを記述したテキストファイルである。パスワードファイルの読み出し許可は
全ユーザーに対して与えるが(\fIls\fP(1) 等の多くのユーティリティではユーザー
ID をユーザー名に 対応させるのに \fBpasswd\fP ファイルを使用する)、書き込
み許可はスーパーユーザーにのみ与えるようにすべきである。
.PP
古き良き時代には、この全ユーザーに対する読み取り許可は 特別な問題を起こ
さなかった。誰でも暗号化されたパスワードを 読むことが出来たが、上手に選
ばれたパスワードを破るのには 当時のハードウェアの速度はあまりに遅かった
し、それに加えて 友好的なユーザー社会であることを基本的な前提としていた。
最近では多くの人が、何らかのバージョンの shadow password suite
(シャドウパスワード機能を実現するためのプログラム群) を動かしている。
その場合 \fI/etc/passwd\fP ファイルのパスワード欄には
\(aqx\(aq 文字が設定され、暗号化されたパスワードは
\fI/etc/shadow\fP ファイルに保持される。 \fI/etc/shadow\fP ファイルはスーパー
ユーザーだけが読み出すことができる。
.PP
\fI/etc/passwd\fP と \fI/etc/shadow\fP のどちらの場合でも暗号化パスワードが
空文字列の場合、パスワードの問い合わせなしでのログインが許可される。
この機能は、アプリケーションで意図的に無効されたり、
設定可能 (例えば pam_unix.so の "nullok" や "nonull" 引数など)
になっていたりする場合がある点に注意すること。
.PP
\fI/etc/passwd\fP の暗号化パスワードが "\fI*NP*\fP" (クォートはなし) の場合、
shadow レコードを NIS+ サーバから取得することを意味する。
.PP
shadow password が使われているかどうかにはよらず、多くのシステム管理者は、暗号化パスワード欄にアスタリスク (*)
を設定することで、そのユーザーがパスワードでの認証が受けられないようにしている (下記の「注意」の項を参照)。
.PP
新しいユーザーを登録する場合には、パスワード欄にアスタリスク (*) を設定しておき、
\fBpasswd\fP(1) コマンドにより設定を行うようにすること。
.PP
ファイルの 1 行は 1 ユーザーの情報を表し、
コロン区切りの 7 つの項目を含む。
.PP
.in +4n
.EX
name:password:UID:GID:GECOS:directory:shell
.EE
.in
.PP
各フィールドは以下の通りである:
.TP 12
\fIname\fP
ユーザーのログイン名。大文字を含まないすべきである。
.TP
\fIpassword\fP
暗号化されたユーザーのパスワード、アスタリスク (*)、文字 \(aqx\(aq の
いずれかである (\(aqx\(aq の説明については \fBpwconv\fP(8) を参照)。
.TP
\fIUID\fP
特権を持つ \fIroot\fP ログインアカウント (スーパーユーザー) は
ユーザー ID 0 である。
.TP
\fIGID\fP
このユーザーのプライマリグループ ID の番号。
(このユーザーの追加のグループはシステムのグループ定義ファイル
で定義される。 \fBgroup\fP(5) を参照)。
.TP
\fIGECOS\fP
本欄 (「コメント欄」と呼ばれることもある) は省略可能で、情報提供の
目的のみに使われる。ユーザーのフルネームを設定することが多い。
(\fBfinger\fP(1) などの) いくつかのプログラムでは、このフィールドの
情報が表示される。
.IP
GECOS は General Electric Comprehensive Operating System を意味しており、
GE 社の大規模システム部門が Honeywell 社に売却された際に GCOS へと変更
された。Dennis Ritchie 氏は次のように言っている:「時々プリンタ出力や、
バッチジョブを GCOS マシンに送ったりするが、パスワードファイルの
gcos 欄は $IDENT カード用の情報を 隠しておくための場所なんだ。
まるっきりエレガントじゃない。」
.TP
\fIdirectory\fP
ユーザーのホームディレクトリ、つまりログイン直後のそのユーザーの
初期ディレクトリである。
このフィールドの値は \fBHOME\fP 環境変数に設定される。
.TP
\fIshell\fP
ログイン時に動くプログラム名 (空欄の場合 \fI/bin/sh\fP が使われる)。
存在しない実行ファイルが設定された場合、そのユーザーは \fBlogin\fP(1) による
システムへのログインができなくなる。
このフィールドの値は \fBSHELL\fP 環境変数の値に設定される。
.SH ファイル
\fI/etc/passwd\fP
.SH 注意
ユーザーグループを作りたい場合には、そのグループが \fI/etc/group\fP の中に
定義されていなければならない。そうしないとグループを作ったことにはならない。
.PP
暗号化パスワードとしてアスタリスク (*) を設定すると、 \fBlogin\fP(1) を
使ってのログインができなくなるが、 \fBrlogin\fP(1) ではまだログインができるし、
\fBrsh\fP(1), \fBcron\fP(8), \fBat\fP(1) やメールのフィルタ等を使い、現存するプロセスを
実行させたり、新たなプロセスを起動したりすることができる。
使用する shell の欄を、単に変更することでアカウントを 使えないようにする
のも同様の結果となる。その場合にはさらに \fBsu\fP(1) も有効なまま残ってしまう。
.SH 関連項目
\fBchfn\fP(1), \fBchsh\fP(1), \fBlogin\fP(1), \fBpasswd\fP(1), \fBsu\fP(1), \fBcrypt\fP(3),
\fBgetpwent\fP(3), \fBgetpwnam\fP(3), \fBgroup\fP(5), \fBshadow\fP(5), \fBvipw\fP(8)
.SH この文書について
この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
\%https://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。