LDP man-pages 翻訳ガイド

LDP man-pages では、翻訳に po4a を利用しています。 そのため、手順が他の翻訳方法と少し異なっています。

準備

po4a を利用しているので、インストールしておきます。 以下は Debian/Ubuntu の場合。 他のディストリビューションの場合も po4a をインストールすれば大丈夫だと思います。

$ apt-get install po4a

注釈

po4a のバージョンにより roff マクロの認識や文字列抽出方法に違いがあることを 確認しています。以下の環境で動作を確認しています (2021年3月時点)。

  • po4a 0.57 (Ubuntu 20.04 focal)
  • po4a 0.55 (Debian 10 buster)
  • po4a 0.52 (Ubuntu 18.04 focal/openSUSE 15.3)

翻訳更新の動作確認を行っておきます。 全ファイルを処理するので多少時間がかかります (2〜3分くらい)。

$ cd manual/LDP_man-pages
$ make setup
$ make
$ git status

全部のコマンドがエラーなく終了すること、 最後の git status コマンドで更新されているファイルがないこと、 を確認してください。 git status の出力で更新されているファイルがある場合は、 そのまま翻訳作業を進めると、意図しないファイルも更新してしまうことがあるので、 メーリングリストで相談するなどして対応を検討しましょう。 作業漏れ以外の可能性もあり、たとえば、 po4a のバージョンが変わって PO ファイルへの抜き出し方法が変わることもあります。

翻訳方法

LDP man-pages では、翻訳に po4a を利用しています。

roff ファイルと PO ファイルの変換には、 roff ファイルと PO ファイルが 1:1 になっているわけではなく、 po4a ファイルはカテゴリー毎に用意され、 ひとつの po4a ファイルには複数の roff ファイルが含まれています。

おおまかな流れは以下のようになります。

  1. 翻訳したい man page に対応する PO ファイルを特定する
  2. PO ファイルで翻訳を行う
  3. draft の man page を生成する

ファイルの対応付けがこのようになっているのは、 似た roff ファイルには似た文が含まれていてカテゴリー単位の方が翻訳が 効率化されること、逆に全 roff ファイルを一つの PO ファイルにまとめて しまうと本来違う意味で解釈すべき文が同じエントリーになってしまう可能性 があり、それを回避するため、という点からです。 この対応付けは、もともと LDP man-pages のフランス語翻訳チームが 公開していた perkamon をベースにしています。

翻訳と draft への変換

ja.po と man page の関係

一つの po ファイルは、 LDP_man-pages の複数の man page に対応しています。 man page に対応する po ファイルを特定するには、以下のコマンドを実行します。

$ ./tools/identify-po.sh strptime.3
strptime.3 -> po4a/time/po/ja.po

上記の場合、strptime.3 が含まれる po ファイル (ja.po) は time 以下にあります。 po4a/time/po/ja.po を翻訳することになります。

翻訳

上記で特定した ja.po を翻訳します。

エディタは po ファイルに対応しているものが便利です。

  • Emacs を使っていれば Emacs の po-mode が便利です。
  • gedit も PO ファイルをきれいに色付けしてくれるので、作業しやすいと思います。

draft page の生成

ja.po から draft を生成するには以下のいずれかを実行します (どちらも同じです)。 更新を行った PO ファイルのみが変換されます。

$ make

または

$ make translate

どのファイルが更新されたかは git status で確認して下さい。

$ git status .

デフォルトでは、翻訳率 80% 以上のページが生成されます。 80% にしている理由は、ある程度日本語混じりの draft page を見ながら翻訳する方が 全体の文脈をつかみやすいためです。全部翻訳できたかは、下記の「翻訳状況の確認」 の方法で確認できるので、翻訳率 100% を閾値にする必要はないと考えています。

生成された draft page を man コマンドで整形して、内容を確認します。 修正を行う際は、 ja.po を更新 -> draft page の生成 -> 内容の確認、を繰り返します。

$ man -l draft/man3/strptime.3

翻訳状況の確認

ページ毎の翻訳状況

上記の draft page の生成の際に、翻訳状況のページ untrans.html が更新されます。 このページを表示すると、ページ毎の翻訳状況が確認できます。

w3m untrans.html

PO ファイル単位の翻訳状況

PO ファイル毎の翻訳状況も表示できます。

make postats

未翻訳項目がある PO ファイルのみを表示することもできます。

make untrans-postats

レビュー

JM ML に翻訳を投稿する場合は、以下のファイルを投稿して下さい。

  • ja.po から生成された draft page
  • 翻訳した ja.po ファイルの git diff (または ja.po ファイルそのもの)

ja.po の diff は以下のコマンドで取得できます。 time の ja.po を翻訳した場合。

git diff po4a/time/po/ja.po

注釈

レビュー方法は改善の余地がいろいろあると思います。 たとえば、プルリクエストを使うなど。

リリース

まとめてリリースを行う場合の手順です。 通常は JM ML でレビューを行います。

make release を実行すると、以下を行います。

  • draft page を release フォルダにコピー
  • translation_list を更新し、 PO ファイルで翻訳率が 100% になっているページのステータスを「☆」 リリース済に変更します。

更新後は通常のリリース手順と同じです。

  • release ファイルを git add → git commit
  • (必要に応じて) www/index.m4, www/news/index.m4 を更新