翻訳の指針¶
この文章は JM Project における man page 翻訳作業に関する指針です。 翻訳者のみなさんには余計な手間になるとは思いますが、 より良い日本語マニュアルを作成するためにご協力ください。
マニュアル本文のフォーマットについて¶
本来のフォーマットや著作権を尊重するために、一次配布フォーマットは roff 形式を採用します。 また roff での作業が困難である場合には、 その旨を JM-ML まで連絡してください。他に roff 化のボランティアを募集します。
全体としての文体の統一のため、 特に理由がなければ常体 (「である」調) を用いてください。 マニュアルページの語尾としては、
「〜だ。」
「〜である。」
「〜する。」
「〜できる。」
「〜となる。」
などを使用してください。
句読点は「、」および「。」を使用してください。ただし、英単語や英文の 部分の区切りには「,」「.」を用いてもかまいません。
原文のコメント化¶
校正作業や改版作業の便宜を図るため、できれば原文をコメントで残しておいてください。 ただし「原文に元からあったコメント」と区別するため、「.”O」という形式のコメントとしてください (O はアルファベット o の大文字)。 登録システムは、リリース版を作成するときに このコメントを自動的に除去します。
コメント化には以下のような内容の awk スクリプト を用いると良いでしょう。
#!/usr/bin/awk -f
{
if ($0 ~ /^\.\\"/) {
print
} else {
printf(".\\\"O %s\n", $0)
}
}
これをオリジナルの roff ファイルに対して
awk -f commentate.awk ar.1 > ar.1.draft
のように用い、 ar.1.draft
に対して作業をします。
以上の作業では原文はすべてコメントアウトされてしまいますが、 .TH 行や .TP 行のように、 そのまま翻訳版にも残しておきたい行もあると思います。 このような行を元に戻す作業には vi を用いるのが楽でしょう。 vim 系なら作業ディレクトリに
map ^T 5xj
というような内容の .vimrc ファイルを置いておきます (^T は Ctrl-T です)。 コメント化した roff ファイルを vi で開き、アンコメントしたい行の先頭で Ctrl-T を打てば、次々に取っていけます。 失敗した場合は u で undo。
著作権表示について¶
roff 形式において roff のコメントとして書かれている著作権表示は、英文のまま残してください。 さらにその後にコメントとして、英文で翻訳者の著作権表示を加えてください。 翻訳者の権利表示の例を以下に示します。
.\"
.\" Japanese Version Copyright (c) 1996 HANATAKA Shinya
.\" all rights reserved.
.\" Translated Wed Nov 20 17:42:39 JST 1996
.\" by HANATAKA Shinya
本文 (man コマンドの整形結果で見える部分) に著作権表示がある場合には、 それも原文のまま残してください。
原文に著作権表示が含まれていない場合には、 個別対応になると思いますので JM-ML で相談してください。
GNU のマニュアルページにはマニュアルページ中に著作権表示のないもの がありますが、その場合、上記の翻訳版著作権に加えて、以下の文をマニュ アルの先頭に付加してください。
.\" Copyright (C) 1994-1999 Free Software Foundation, Inc.
.\"
.\" Permission is granted to make and distribute verbatim copies of
.\"this
.\"manual provided the copyright notice and this permission notice are
.\"preserved on all copies.
.\"
.\" Permission is granted to copy and distribute modified versions of
.\"this manual under the conditions for verbatim copying, provided that
.\"the entire resulting derived work is distributed under the terms of a
.\"permission notice identical to this one.
.\"
.\" Permission is granted to copy and distribute translations of this
.\"manual into another language, under the above conditions for modified
.\"versions, except that this permission notice may be stated in a
.\"translation approved by the Foundation.
.\"
特殊用語の翻訳について¶
特殊用語の翻訳は以下の方針に従ってください。
コマンド名、関数名、引き数名などは翻訳せず、 アルファベットのままで記述する。
英文との相互参照や用語の統一を簡単にするために、 専門用語を翻訳する場合には、 訳語の後ろにかっこつきで原語を併記してください。
共有メモリ(shared memory)
専門用語は無理に日本語にせずカタカナ表記を使用する。
× 記述子 (descriptor) ○ ディスクリプター (descriptor)
マニュアル間での訳語の統一を行うために、 できれば専門用語について単語リストを作成してください。 単語リストは、それぞれのマニュアルページの頭に 以下のような roffのコメント形式で埋め込んでください。
.\"WORD: effective uid 実効ユーザーID
.\"WORD: out-of-band 帯域外
.\"WORD: physical address 物理アドレス
.\"WORD: signal シグナル
音引きについて¶
片仮名語の語尾の音引き(ー)には以下の方針を用いてください。
既に日本語になっているものについてはそれを用いる。
できるだけ原語の発音に近い表現を用いる。
×メモリー(memory) ○メモリ(memory)
それ以外の場合に語尾の音引きは省略しない。
×コンパイラ(compiler) ○コンパイラー(compiler)
セクション名について¶
セクション名については以下のものを使用してください。
ACKNOWLEDGEMENTS 謝辞
ARGUMENTS 引き数
AUTHOR 著者 or 作者
AUTHORS 著者 or 作者
BUGS バグ
CAVEATS 警告
COMMAND LINE OPTIONS オプション or コマンドラインオプション
COMPATIBILITY 互換性
CONFORMING TO 準拠
CONFORMS TO 準拠
COPYING 著作権
COPYRIGHT 著作権
DESCRIPTION 説明
DIAGNOSTICS 返り値
ENVIRONMENT 環境変数
ENVIRONMENT VARIABLES 環境変数
ERROR エラー
ERRORS エラー
EXAMPLE 例
EXAMPLES 例
EXIT CODES 返り値
EXTENSION 拡張
EXTENSIONS 拡張
FILES ファイル
FLAGS フラグ
HISTORY 履歴 (or 歴史)
KEYWORDS キーワード
LIMITATIONS 制限
NAME 名前
NOTE 注意
NOTES 注意
OPTION オプション
OPTIONS オプション
PARAMETERS 引き数
PORTABILITY 移植性
RESTRICTIONS 制限
RETURN VALUE 返り値
SEE ALSO 関連項目
SOLICITATION 要請
STANDARDS 標準 (or 準拠)
SYNOPSIS 書式
SYNTAX 書式
VERSION バージョン
WARNING 警告
WARNINGS 警告