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A. 翻訳について

この文書は GNU core utilities version 8.26 の info マニュアルの翻訳である。間違いの御指摘や改良の御提案は Linux JM project 宛にメールでなさっていただきたい (linuxjm-discuss@lists.osdn.me)。

まず最初に、coreutils の日本語版 info マニュアルの呼び出し方を簡単に説明する。 coreutils の 日本語版 info が install-info コマンドを使ってきちんとシステムにインストールされているならば、コマンドラインから ‘info coreutils-ja’ で日本語マニュアル全体を、‘info chmod-ja’ などで個々のプログラムの日本語マニュアルを呼び出すことができる。 英語版を読むときは、今までどおり ‘info coreutils’ や ‘info chmod’ とすればよい。個々のコマンドについては、英語版なら ‘info coreutils 'cp invocation'’、日本語版なら ‘info coreutils-ja 'cp invocation'’ といったマニュアルの呼び出し方もある。

また、‘info’ を引数なしで実行すると、 info マニュアルのトップレベルのメニューが開く。 ここで、メニュー項目にカーソルを合わせて、リターンキーを押せば、その項目に飛ぶ。 しかし、読みたい項目をキー操作で指定する方が簡単である。たとえば、 m キーを押した後 chmod-ja と打ち込んで、リターンキーを押せば、chmod コマンドの日本語版マニュアルが、 chmod だけなら英語版マニュアルが表示される。

coreutils-jachmod-ja などと -ja を付けるのは、info プログラムを起動するときと、 info のトップレベル・メニューにいるときだけである。 すでに日本語版 coreutils マニュアルのどれかを (それが coreutils-ja であれ、dd-ja であれ) info コマンドで開いている場合は、 -ja を後ろに付ける必要がなくなる。と言うより、付けてはいけない。 coreutils-ja の先頭ページのようにコマンドのメニューが存在するページでは (実際には、スクロールしないと、メニューが見えないが)、たとえば、 m に続けて chmod と打ち込み、リターンキーを押すだけで、 chmod の日本語の説明が開く。また、日本語 coreutils マニュアルの任意のページから coreutils-ja の他のノードへ直接飛ぶ場合も (ノードは、ほぼ章や節に相当する)、 g キーを押してから、chmod invocation などとノード名を打ち込み、 リターンキーを押せばよい。m, g、どちらの場合も、タブで文字列の補完ができる。

info マニュアルの読み方の基本は、「メニューやクロスリファレンスにカーソルを合わせてリターンキーを押せば、その項目に飛ぶ。 スペースで先に進み、バックスペースで後戻りする。l キーで直前に開いていたノードに戻る。 q キーで終了する」である。たぶん coreutils-ja.info のパッケージには、README.ja というファイルが含まれていると思う。 info マニュアルの呼び出し方や使用法について、そこにもう少し詳しい説明を書いておいたので、 ご覧になっていただきたい。

ここで、日本語の info マニュアルを使用するときの問題点を挙げておく。

  1. info コマンドのバージョンによっては、行末の処理が上手ではない。 そのため、行末に余計な文字が入ることがある。そうしたときは、C-l を押して (Ctrl と l (エル) キーを同時に押す)、画面の再描画を行っていただきたい。 表示が正常になるはずである。 Emacs の info リーダーでは、この問題はめったに起きない。
  2. 最近の info コマンド (たとえば、バージョン 6.3) では、s/ による日本語の単語の検索ができるようになった。 C-s による日本語のインクリメンタル検索も可能になっている。 バージョンの古い info では、英単語による検索はできても、 日本語の単語による検索はできないので、注意していただきたい。
  3. X の端末エミュレータで info コマンドを使用する場合、 端末エミュレータとフォントの組み合わせによっては、 文字列を囲むクォートの表示がおかしくなることがある。 フォントに「Monospace Regular」を使っているなら、 「VL Pゴシック regular」か「Liberation Mono Regular」に変えてみるとよいかもしれない (それはそれで、別の問題が出る可能性もあるが)。 ちょっと古風だが、日本語が使える xterm (uxterm など) なら、クォートの表示にまず問題はない。
  4. coreutils の info のこの翻訳では、インデックスの日本語化まで手が回らなかった。 そのため、インデックスは英語のままである。
  5. 古めの Emacs でこの翻訳を読もうとすると、文字化けするかもしれない。 回避法があるのかもしれないが、訳者にはわからなかった。

この翻訳の最初の版は、coreutils-8.20 所収の texinfo ファイルを元に、 Linux JM project のために訳者が新たに翻訳したものだった。 以下に、そのときの後書きをほぼそのまま載せておく。

この info マニュアルの原文は、本文の「序」でも述べているように、 各プログラムの man ページを統合し、増補・改訂したものである。この info マニュアルがまとめられるにともない、公式の man ページの方は、コマンドの ‘--help’ オプションで見ることができるものとほぼ同文の、 簡単な内容のものになった。

従来どおりの詳しい man ページを希望する人たちも存在した。 そのために作られたのが、gnumaniak の man ページであり、従来の man ページを info の情報で増補したものだったが、現在では保守されていないようだ。

作成の経緯がそうしたものなので、この info マニュアルの原文には、 gnumaniak の man ページの原文とほとんど内容が同じものがある。 翻訳作業に当たっては、すべての項目について gnumaniak の man ページの翻訳を参考にした。あちらの訳文の方がよくできている項目もある (gnumaniak の翻訳は http://linuxjm.osdn.jp/html/gnumaniak/man1/ にある)。

この翻訳は、Linux JM project の gnumaniak の翻訳に多くを負っている。 そこで、まず、gnumaniak の翻訳者の方々 — 中野武雄、佐藤裕一、白方健太郎、 Kazuyuki Tanisako、Omo Kazuki の諸氏にお礼を申し上げる。

訳文を見直す際には、西尾太さんが以前翻訳なさった coreutils-5.2.1 の info を参考にした。また、当然ながら、新しい man ページ (こちらの翻訳者は、たぶん Yasuaki Taniguchi さんと Akihiro MOTOKI さん) とも、できるだけ突き合わせた。西尾さん、Taniguchi さん、元木さんにもお礼を申し上げる。

gnumaniak や coreutils の man や info の翻訳をなさった方で、 私がお名前を挙げ忘れた方がいらっしゃるかもしれない。 お知らせくだされば、追加訂正する。

訳文には間違った箇所がたくさんあると思う。そのへんは、ご寛恕いただきたい。 皆さんがこの訳文を叩き台にして、増補・改訂・改訳を続け、 より新しく、よりわかりやすい、そして、より正確な coreutils の翻訳を作ってくだされば、最初の翻訳者としてそれにまさる喜びはない。

2017-03-26 訳者

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